詩的な世界観をもつやさしい絵本『パシュラル先生』シリーズの作者はらだたけひでさんが書かれた、グルジアの国民的画家ニコ・ピロスマニの紹介本です。
日本でもピロスマニの大きな画集が出ていますが、出来るなら本書を読まれてから画集をご覧になることをお勧めします(先入観ができて嫌だというタイプの方は別ですが)。個人的には、グルジアという国の当時の時代背景や暮らしの様子など、彼の国の文化がある程度分かっていてピロスマニを見るのとそうでないのとでは、随分受ける印象が違いましたので。はらださんの同業者ならではの観察眼から来る、細部まで目配りされた解説も有益でした。
目次は、「序章・『百万本のバラ』の絵描き」「第一章・ピロスマニへの道」(はらださんの現地リポートを交えたグルジアの文化紹介)「第二章・ピロスマニの人生」「第三章・ピロスマニの作品」「終章・ピロスマニはよみがえる」です。巻末に、参考・引用文献と略年譜付き。
カラーで作品が見られるのは巻頭の6ページほどのグラビアでだけなので、やはり本書の次には画集を見ていただきたいですが、本文中には白黒の作品(ミニサイズですけれど)がふんだんに散りばめられ、グルジアの写真や数少ないピロスマニの顔写真も載せられています。
この純粋で不器用で信心深い放浪の画家に対するはらださんの静かで熱い思いが、本書ページの皮膚の下で血管のように脈打っているのを感じる力作です。
本書を読むと映画『ピロスマニ』が見たくなります(そして国民的詩人ルスタヴェリにも興味が・・)。ぜひご一読ください。