もしかしたらもうこのシリーズには会えないのかも…。
そんな不安を漠然と抱きながら、数年過ごしたファンの皆様。
待望の6巻です。書店で表紙を見た瞬間、食いつきました。
この作品は、化学工業の仕事世界を究極に描いた背景と、
それを各部署のプロフェッショナルな青年と熟年、その家族が
時に楽しく、時に切なく…しかし熱く支える小説です。
既にその枠は「BL」と簡単に括れるスケールではありません。
ぜひ「今何も心動かされるドラマがない」と悲しむ人全てに
読んでもらいたい。そして知って欲しい。物語を紡ぐには
うわべだけの美しさなんていらないと。大事なのは不器用でも真心。
卓越した文章センスとプロット力、セリフの絶妙なやり取り。
それから何より「人間」を愛し敬い、憂え称えるハートが
不可欠なのだという事実を。
「泣ける」「感動」もうそんな陳腐な表現では尽くせない。
一人の夜、大切な友達が昔言ってくれた何気ない一言や
父や母のさり気ない励まし、先輩からの温かくも厳しい叱咤。
人生の中で小さく積み上げられてきた思い出をじんわりと
涙に流してくれる…。
特にこの新刊では、「母と息子」の関係がクローズアップ。
自分の息子の伴侶が、同性だった時に母たちが思うこととは…。
こんな素晴らしい作品が次で最終回なんて…寂しくて堪らない。
間違いなく、シャレード文庫をハイレベルノベルスに君臨
させてきた傑作。未読の方には絶対一気買いをお勧めします。