ここ1、2年のあいだにマルチスライス冠動脈CTが市中の病院にまで設置されるようになった。日本人狭心症を対象にしたJSAP研究を素直に読めば、狭心症の5年生存率は95%程度か。これは健康な65歳男性の5年生存率とほとんど変わらない。しかも、冠動脈狭窄を見つけ冠動脈形成術を受けたところで狭心症の死亡率は減ることはないのにも関わらずである(JSAP,COURAGE,BARI-2Dエビデンスはいくらでもある)。こんな病気に対して冠動脈CTが何のためらいもなく安易に行われているのはどういうことだろう。患者は被爆を受けた上、心筋虚血の評価もされないままに(あるいは胸痛さえないにもかかわらず)冠動脈が狭いところが見つかったからと、さらに多くの被爆を伴う冠動脈形成術を無駄に受けているのである。この本を読み、いったいどれぐらいの被爆を伴うのか、福島第1原発周囲の累積被爆線量と比較してほしい。残念ながら、医療を受ける側の患者、一般市民の情報リテラシーに期待せざるを得ない時代なのだ。