ジャック・パランスと言うと、「シェーン」の黒ずくめのガンマン役が余りに有名だが、私には、まずは今作だ。
これは、ロバート・アルドリッチによる骨太戦争映画。卑怯者の上官とタフで熱いハートの下士官、軍隊と言う階級社会の中、戦時下の最前線で起こる両者の確執と対立。
50年代ハリウッドで吹き荒れた"マッカーシー旋風"で冷遇されたアルドリッチらしく、軍隊が持つ階級制度の欺瞞さを強烈なメッセージを込め描いているが、ここまで無能な臆病者だと、システムと言うより個人の資質の問題に矮小化されてしまった気もするが、最後の最後で顕現化される本当のワルの正体と、それに対する決着のつけ方はいかにもアルドリッチ・タッチ。映画が製作された56年当時ハリウッドでここまで軍隊批判をダイレクトに謳ったのは稀だったようだし、何より反骨精神旺盛な硬派アクションとして、その後のアルドリッチ映画の礎をなっているのが魅力的。(この設定をサム・ペキンパーなりに昇華させたのが、大傑作「戦争のはらわた」だったと思う)
「神よ、力を!」は、ラストでパランスが叫ぶ有名な台詞だが、パランスならずとも、こんな無能な上司に仕えるのは迷惑極まりないし、人を使う立場の者は反面教師の教材とすべし。
パランスも、エディ・アルバートも、リー・マーヴィンも、勿論アルドリッチも亡くなってしまったが、そのスピリットは決して消える事なく生き続けるんじゃないか。