Sambaの設定で問題となるのが、SELinuxの存在である。しかし、この本では肝心のSELinuxが無視されている。本書を購入すべきかどうかは、27ページを読んで納得した上で購入してほしい。27ページでは次のように説明している。
“最近のLinuxディストリビューションではSELinuxなどのセキュアOS機能が有効になっている場合もあります。[中略]セキュアOS機能の構成を適切に行うには、相応の知識が必要となるため、本書では解説していません。”
著者紹介に「Sambaの第一人者」と書きながら、SELinuxを取り上げないのはいかがなものか?さらに同27ページでは次のように続けている。
“セキュアOS機能を有効にした場合の動作についても一切確認していません。”
Sambaの構築にとってハードルの高い障壁となるのはSELinuxである。特にSambaのようにWindowsとの連携となるシステムはセキュリティに注意しなければならない。システムを構成しやすいように、安易にセキュリティを無視した環境で説明するのは無責任この上ない。「Sambaの第一人者」なら、SELinuxの制御下で自在にSambaを構成する手法を説明してほしいものだ。
さらにひどいのが、Windows 2000をはじめ、それ以前のWindows 9xやNTの設定でページが多く割かれている点である。Windows 2000でさえも、既にサポートが終了しているため、良識のある企業・研究機関・地方公共団体などでは、混在して使用していないはず。
740ページのようにWindows 2000のクォータ管理ツールが出るぐらいならまだいい方で、570ページのWindows NT Serverの画面にはびっくりしてしまった。過去との対比ではなく、本気で古すぎるOSとの混在を説明している。592ページではWindows 9xのドメイン参加の設定まで出ている。このように、現在では現実離れしすぎた古いOSとの混在環境を扱っているため、Vista以降の取り扱いボリュームが必然的に薄くなっている。そのため、分厚い本の意味がなくなっている。
セキュリティパッチの提供もされない、古くて廃止されたWindowsを取り扱う歴史的古文書は不要である。読者として知りたいのは少しでも新しい技術であって、過去に出し尽くされた古い内容ではない。