本書は、(目次を見れば一目瞭然ですが)従来のような手形小切手法を主たる対象として手形理論から演繹的に議論する抽象的な(砂を噛むような)体系書ではなく、電子マネーやデビットカードに始まり銀行振込や電子記録債権まで幅広くカバーした、支払決済に関連する法制度の概説書となっています。
おそらくは法学部や法科大学院での講義に用いられることを想定して書かれた教科書であり、実務を知らない学生でもイメージが湧きやすいような配慮が随所になされていますが、簡潔かつ平明な記述で、この領域を専門としない社会人にとっても極めて有用な文献になっています。
決済に関する法制の概要を知りたくて手形小切手法の教科書を読み始め、冒頭で解説されることの多い契約説、発行説、創造説などの理論対立の解説部分でギブアップしてしまったような方にも是非おすすめしたいです。