最近出版された
「般若心経物語」という本に、この本のことが載っていました。この「擬似恋愛 ある風俗嬢の告白」から、次の文章が引用されていました。
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風俗を始めて約三年。この三年でチエの考え方やものの受け止め方は、百八十度と言っていいほど変わったと思う。まず、「自分のものさし」を持たなくなったこと。これは、風俗という仕事で教わった。人にはそれぞれ「自分の基準」というものがある。「自分が正しいと思うこと」「自分が許せないと思うこと」これらは全て自分の中での許容量や世間が作っている「常識」を基準に判断される。でも、それって「自分と違う考え方をする人は、理解できない」とか「自分と合わない考えを持った人を批判する」という行動を取ってしまうこともあるのだ。
チエは、風俗という仕事をして、数え切れないほどの批判を受けた。「汚い」「信じられない」「理解できない」「人として欠けてる」もう、浴びるほど言われた。最初はそのたびへこんだり、泣いたり、自分を卑下したりしていたが、今は何を言われても平気になった。でもそれは、「開き直った」とか、「罪の意識がなくなった」とか、そういうことではなくて、「自分の気持ちを信じよう」と、決心ができたからだ。
批判されることにより、落ち込むのではなく自分を見つめなおせる。そうすることで、自分がなぜこの仕事をしてるのか。この目的は、どこにあるのか。自分は、何をしたくて、何のためにここにいるのか。それが段々わかってくる。そういう考え方は、批判に対抗している時点では絶対にわからない。人の意見を聞き、批判を受け止め、自分を見つめなおすことを何度も何度も繰り返すことで、ようやく見えてくるのだ。
結局チエは、「自分のため」でしかなかった。
(中略)
そして、この仕事をしなければ、出会えなかったたくさんの人たちと出会え、この仕事でなければわからなかった「人の気持ち」というものにも、たくさん触れることができた。
(中略)
どれだけ、世間一般にけなされることをしている人でも、必ず何か理由がある。心に闇を抱えてる部分がある。それがわかっていれば、どんな人と接してもどんな人の話を聞いても、「批判」という言葉はチエの中に生まれなくなった。「その人を受け止める」心の器が、少しできたように思うのだ。「他人とぶつかる」「人とケンカをする」ということが、驚くほどなくなった。
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以上が「般若心経物語」に引用されている主な部分です。この引用部分から分かるように、この本は単なる風俗の仕事の状況を描いたということに留まらないものがあります。感動的です。
その感動の部分や哀しさや切なさの部分に、人生の深さを感じてそれを紹介したのが
「般若心経物語」です。「擬似恋愛 ある風俗嬢の告白」も「般若心経物語」もきわめて真面目な本です。両方ともぜひ読んでみてください。