撹乱と生物の生息との関係は、近年においてなお、生態学における中心課題の一つであると言っても過言ではない。これをテーマとした研究は、これまで国内外を問わず無数に為されてきた。しかし、撹乱という言葉の持つ意味は極めて広範に渡るため、行われてきた研究も多種多様に渡り、その体系化は困難であるといえる。このためか、これまで撹乱について論じた教科書は多くなかった。本書は、撹乱を植物の生育環境を形作る要因として捉えることで、撹乱の持つ意味を一元化し、撹乱と植物の関係を非常に体系的に紹介するものとなっている。対象とする地域も火山から砂漠、湿原から高山極地まで多様に渡り、撹乱とは何かという基本的な問いから、撹乱が作り出す多様な自然現象まで明快に答えてくれる内容である。筆者らは現在も活発に研究活動を行っている研究者であり、古典的な話題から、最新の研究成果まで広範にわたる充実した内容を取り扱っている。これから植物生態学を専攻しようと考えている若手から、既に撹乱を対象として研究を行っている若手〜中堅の研究者まで、広い対象に推薦できる良書といえる。