筆者は高度経済成長時代に大学を卒業し、36年に亘り商社マン生活を送り、現在は経営コンサルタント事務所を持ちつつ、大学でも「日本総合商社論」を教えている。本書は、筆者の商社マン時代の経験と商社の役割の歴史的変遷を纏めたものと言え、構成は前半が大学での授業の講演録を基にしたものであり、後半は中部支社長の時代の会議の議事録となっている。
今日、業界として業績が好調な商社であるが、筆者が入社した高度成長時代は必ずしも業績が好調だった訳でもなく、何度かの商社斜陽論や商社不要論を繰り返し、存在意義を問い続けた結果、今日に繋がっている経過が分かる。
1980年代のイラン・イラク戦争の為、テヘランへの空爆が始まり、イランに駐在する日本人を救出する為に、日本の商社マンが旧知のトルコ首相に電話で助けを求め、トルコが救援機を出したことや、その背景に明治時代にトルコの軍艦が日本沖で遭難した際に、日本の漁民などが救出を支援していたことなど、日本人として知っておくべき歴史的事実などにも多々触れられており、単なる商社論ではない面白さがある。