マイケル・J・フォックス主演の“摩天楼はバラ色に”とタイトルが似ているけど、180゚違うシビアな男社会を描いたフィルムなので同じ路線の華やかなサクセス・ストーリーを期待して観ると度胆を抜かれる。
日々の生活臭漂うくたびれた不動産セールスマン達が、土地を売って金を掴み取る為に時にはプライドをも捨て切ってがむしゃらに戦う姿を緊迫感ある映像で映し出す。全員が玄人で息も尽かせぬセリフの間の取り方や演技力の凄さに感動した。それも、あれだけの名声と力量を持った俳優さん達全員がそれぞれの分をきちんと守って均衡を保てている事から、この作品に敬意を払っているのが感じ取れて作品の質を高めている。
私はアル・パチーノもエド・ハリスもジャック・レモンも好きだが、ケビン・スペイシーの演技が一番好きだ。当時出演陣の中では一番無名に近い役者ながら、セールスマン達皆から罵声を浴びせられる事務員を威厳を持って演じていて先輩俳優たちに引けを取らない存在感があった。スペイシー自身インタビューで「共演者は皆素晴らしい俳優達で、僕は彼らの嫌われ者だったよ。あれ位力量のある俳優達にダメ役者って言われても納得いくね。あの当時はかなり落ち込んだよ」と語っていたが素晴らしい演技だったと思う。ジャック・レモンを自白に追い込むシーンでの両者の応酬には目を見張った。
劇中に飛びかう4Letter words(F○〇K)の多さにも聞いてておもしろかったけど(笑)銃撃シーン一切無しにラストまで飽きさせず緊迫した映画を観て、玄人が創る映画の偉大さを堪能した。ぜひお薦めの一本。