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摂関政治〈シリーズ 日本古代史 6〉 (岩波新書)
 
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摂関政治〈シリーズ 日本古代史 6〉 (岩波新書) [新書]

古瀬 奈津子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

我が世の栄華を満月にたとえた藤原道長。彼が他の貴族を圧倒する力を得たのはなぜか。『枕草子』『源氏物語』などすぐれた女房文学がなぜ生まれたのか。殿上人は、そして都の庶民は、どのような一年を送っていたのか。さらに、力をつける地方国司、武士の台頭、そして末法思想と浄土教の広がりなど、古代の終わりと中世への胎動を描くシリーズ最終巻。(全6巻完結)

登録情報

  • 新書: 256ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2011/12/21)
  • ISBN-10: 4004312760
  • ISBN-13: 978-4004312765
  • 発売日: 2011/12/21
  • 商品の寸法: 17.8 x 11 x 2.3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By ヒデボン VINE™ メンバー
 866年の応天門の変が引き起こした太政官の内部抗争。この結果藤原良房に摂政補任の勅が下される。これがそもそもの摂政の始まり。摂政とは天皇に代わって政治を行うことであり、幼帝の時は摂政、天皇が成人するとこれが関白となる。本書はこの辺のところを詳しく解説しているので、摂政・関白のそもそもの成り立ちがよくわかる。

 さらにこの時代の一般庶民の生活ぶり、どんな仕事をしていたのか、どんなところに住んでいたのかも書かれており、このあたりとてもおもしろい。

 摂関政治は藤原道長の時代に全盛期を迎え、やがて「摂関家」なる外戚政策に凝り固まった特異なるファミリー集団を生む。
 この道長の年上の正妻倫子(りんし)との間に生まれた長女彰子は一条天皇の中宮、後一条天皇と後朱雀天皇の母后となる。紫式部が女房として使えることになる后である。
 兄道隆の娘定子(ていし)が入内し、女御から中宮になるが、この定子に仕えたのが清少納言である。

 紫式部やら清少納言が活躍するようにこの摂関期は女性が「家」制度に取り込まれず、独自に活躍できた最後の時期である、と著者は書いている。

 この時期、日本を取り巻く東アジアは激動の時代を迎える。907年には唐が滅亡、五代十国時代に入り、979年にはついに太宗が率いる宋が中国を統一する。朝鮮半島では936年に高麗が半島を統一する。
 日本では、遣唐使の廃止以後、大陸中国とは一線を画する一方で、独自の国風文化を生み出す土壌を生んだ。

 本書は末法思想の紹介にまで話が進み、盛り沢山な内容をコンパクトにまとめてあるので、この時代の入門書としておすすめできるのではないだろうか。
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By ともぱぱ 殿堂入りレビュアー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
本巻は藤原氏全盛の道長・頼通親子の時代(10世紀末〜11世紀前半)を中心に扱い、特に道長が上りつめる過程、道長が築いた権力構造の特徴、そして殿上人・中下流貴族・后と女房たち、都市民と祭り、対外関係と中国に渡る僧等、比較的短い期間に様々な角度から光をあてる。前巻と記載が重なる時期もあるが、日記や手紙等この時代の人々の生の声をふんだんに盛り込んでおり、とても面白い。

そもそも道長が関白であったことはなく、摂政だった期間もごくわずか。内覧で左大臣という期間がほとんど。今の高校までの日本史でどう教えているかしらないが、道長=摂政・関白と誤解している人が多いのでは(私もそうだったが)?

また、従前の摂関政治をただ承継した訳ではない。他の公卿とは隔絶した権力を手中にし、天皇制を前提にしつつ実権の所在は別にある日本的な政治の枠組みを作ったのが道長。道長を上皇に置き換えれば院政、将軍に置き換えれば幕府になる。さらに公的地位を頼通に譲ってからも大殿として実質的No.1であり続けるというのは現代にも通じる。

古代政治の終焉と中世の胎動の時代である一方、社会にはなお古代の色彩が残る。父系のイエが成立する前の母系の社会だったから、外戚・藤原氏は政治の中心になり得た。そういう社会では后や女房も政治に関与する場面があり、その緊張感が摂関期に女流文学の盛行をもたらしたとの説明は腑に落ちる。

その他、摂関期には荘園だらけで貴族は自分が領主の荘園から専ら収入を得ていたと誤解していた。この時代の貴族の主たる収入は朝廷からのいわば給料。本巻で誤解だらけだった摂関期の実像に近づけた。

目を外交に転じると、唐との対決が臨戦体制としての中央集権的な律令国歌を生み出し、その唐が滅び、緊張緩和が国内の権力の分散をもたらした。そういう意味で、本巻をもって日本古代史の幕を下ろすのは正解。
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これで古代史シリーズは完結である。

近現代史シリーズと比べると小ぶりな感じだが、このシリーズも読みでがあった。

摂関期というのは退屈な時代という印象がある。本書で興味深かったのは、都市中間層の存在についての記述である。平安時代というと少数の貴族と貧困と疫病にあえぐ民衆というイメージが強い。だが中間層がいなくて古代末期から中世へと向かう時代における『源氏物語』のような文化が残るわけはない。

まあ、江戸時代における「再発見」はあるにしても、読み手は一定広範にいたわけだろう。

女房文学が、彼女たちが仕えた皇后の独自の権力の緊張感を反映しているという指摘も示唆的である。

「文化」を批判的に考える上で、それを担ったのがどういう層であったのか、ということが重要ではないか。近現代の文化批判へのヒントも与えてくれる書であった。
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