目が覚めると俺のカラダは携帯電話になっていた。
いったい誰が何のためにこんなことを?
はたして俺は、もとのカラダに戻れるのだろうか?
はじめに、これだけはいいたい。
主人公を『携帯電話』、『俺』だと名乗るやつだと思ってこの作品を購入すると大怪我しますよ?
『俺』は主人公ではなく、一番適していると思われるのが傍観者や語り部でしょうか。
この作品、個人的に評価できると感じたのは表現方法です。
物語とは一般的に主人公が動くことで物語を動かすものが多いですが、この作品は主人公の視点を動けない携帯電話として完全に固定して、逆に周りを動かすことで物語を動かす手法です。
その点では冒険的な試みだと感じるが、他の著者がやらない理由も理解できた。
主人公が動けない、周りの人間と会話できないことで、読者に対してかなりの抑圧を強いる。読んでいて息苦しくてしかたない。
そして、携帯電話視点なので物語に全くといっていいほど動きがありません。ほとんどが日常の描写です。
同じ日常の描写でも、他者との交流により心が温かくなる作品やホッとする作品ならまだいいが、この作品はただ日常を描写するだけ、一人称視点にもかかわらず日常では他者との交流がないので読中は苦痛を覚える。
魔術の都合のいい解釈、人の精神に対する人権侵害、人を効率よく進化させようという驕り。
この作品に対しては受け入れられる部分がほとんどなかった。
表紙のイラストやタイトルと中身が必ずしも伴うとは限らないという勉強になった作品。