通勤の電車の中で一気に読めた。非常に読みやすい。ジャーナリストとして長年数多くの取材にあたってきた著者の力量が発揮されているように思う。米国では携帯電磁波による健康被害での訴訟が数件あり、労災認定で勝訴した例も含まれているが、その原告である人たちが語る内容は、多くの日本人に驚きを与えるのではないだろうか。携帯電磁波の健康影響を探っている、著名な海外の研究者の証言や声も多く取り上げられている。重要な疫学研究の結果もわかりやすく要領よく紹介されていて、疫学にはじめて接する人でもつまづくことはないだろう。著者は自分の主張を読者に示そうとしているわけではなく、電磁波問題のいわば素人として、虚心に安全性について検討しようとしているのだが、そのことでかえって、日本が無策であることの深刻さが浮き彫りになっている。携帯電話を小さいときから無邪気に使う子どもたちの数を増やしこそすれ、将来に起こるかもしれない脳腫瘍などの被害への予防をまったく促そうとはしない日本の姿は、どうも世界の中でも特異であるようなのだ。多くの人にこの本が読まれ、現状を変えていくきっかけになればと思う。