熊本の赤ちゃんポストが設置された当時、「ポスト」は子捨てを助長すると強く批判されたが、実際のところ、どう運用されているのか。この本は「ポスト」の運用の実態と背景に迫る貴重な一冊だ。
この本によると「ポスト」の機能は「子捨て」助長ではなく、相談業務にある。
つまり親が「ポスト」に子を置こうとするのをきっかけに、悩みを抱える親の相談を関係者が受け、さまざまな情報を提供する。そして、今後、どうすべきかを親に冷静に考えてもらう。これが重要な機能らしい。
「ポスト」に子を置いていく、いわゆる「子捨て」のケースもあるようだが、なぜそうなるか、よく言われる親のモラルの欠如以外の理由もあるらしい。
さらに本書では「赤ちゃんポスト」の背景にある、妊娠、出産、子育てをめぐる困難についても、丁寧に迫っている。
本書を読むと、私たちの社会に何が欠けているのかを、「ポスト」が指し示しててくれている…とすら思えてくる。切ない話だ。
「赤ちゃんポスト」に関心のある方だけでなく、妊娠、出産、子育て一般に関心のある方にもぜひ一読を勧めたい良書である。