ともあれ、本書第2章を読んでほしい。人と社会が生き延びるに必要なテーマ六つについての探究型学習の実践報告で児童たちが生き生きと描かれ、その学習の可能性の豊かさを実感させられる。
現代が知的基盤社会だとして世界的規模で「未知の状況、正解のない状況でなんとか現実解を見出」せる人材を育てたいと新しい教育の取り組みが始まっているという。本書が提案する「探究型学習」は、その流れにある。
ほぼ60年前、『山びこ学校』という生活綴り方運動に連なる本が上梓された(現在は岩波文庫で読める)。その本は、中学生たちが自分たちの生活を見つめ、率直に社会へ放った抵抗の礫であった。当時の社会は、まだまだ簡素な仕組みで成立していた。現在は、社会が多様化し、複雑化していて抵抗するにも大いに厄介だ。
本書第2章は、そうした厄介な社会を生き抜くに必要な手段の学習を示している。その意味で現代版「山びこ学校」とも言える。この2冊を読み比べると、現代の教育改革の方向性を示唆される。