あかねたちが迷い込んだ廃校は、人外の存在
である、吸血鬼たちが隔離された施設だった。
そこで起きる「密室殺人外」。
現場の周囲には、吸血鬼の侵入を拒む障害がある上、彼ら
にとっても弱点である凶器を、彼らが使用できる道理はない。
一方、あかねたち人間は、吸血鬼を滅する
方法を知らなかったし、そもそも動機がない。
真相究明にタイムリミットが設けられるなか、第二の事件が起き……。
本作は、吸血鬼を縛るローカル・ルールを前提にしており、そのルールは、解決篇
の前に、あかねが「宇輪山中学校産吸血鬼の特殊ルール」として、まとめています
(ただし、その時点で、あかねが知り得たことに限定されるというのがポイントです)。
第一の事件では、吸血鬼と人間、それぞれが単独では犯行を行えないため、
吸血鬼と人間の共犯、という可能性が浮上してきますが、たまたま知り合った
に過ぎない両グループのメンバー間に、共通の利害があるはずもありません。
そうした不可能状況を、「特殊ルール」にもとづき、いかに処理
したかが、本作最大の読みどころです(まさに意外な「共犯」w)。
ところで、本作のような特殊ルールにもとづくミステリでは、その運用に当たり、ある程度、
作者の恣意性が頭をもたげてくるのは仕方ないと思いますが、真相究明の手がかりとなる
ものは、明確な形で示してほしいところです(第一の事件における技術室の絵については、
もっと露骨に情報を提示してもよかったと思いますし、第二の事件では、吸血鬼のある習性
はともかく、それに関わる吸血鬼の弱点は知っていたあかねが、そのことを「特殊ルール」
に書かなかったのは、若干アンフェアでしょう)。
ともあれ、ミステリの趣向を、次々と貪欲に消化していっている本シリーズ。
次回は、どんな趣向でくるのか、今から楽しみです
(あと、今回なかった妄想やカルタ対決の復活も)。