基本的に「警察が無能で探偵が実効力を持つ」ファンタジー世界ですが、最終章を
除けば推理も楽しめますし、有名ミステリ作家作品の某名探偵を彷彿とさせる
奇人名探偵・癸生川の言動や、過去の名作推理小説にインスパイヤされたと想像出来る
推理過程は、本格ミステリファンにも楽しめるとは思います。
あくまで、最終章を除けば、なのですが。
元々携帯アプリの作品なので、対象としている年齢層が中高生くらいなのでしょうか。
まず、名探偵や助手をはじめとした登場人物の説教臭さが鼻につきました。
登場すれば何かと説教。主人公が口を開けば説教。年下の人物にも説教される。
制作者がDSの前の若年層のプレイヤーに向けてお説教しているのではないか、という
ちょっとイヤンな気分になりました。
結局プレイヤー=記述者(主人公)は不完全な探偵役でしかなく、自己主張と説教臭さの
激しい探偵助手が何かと前面に立って行動します。
この主人公の立ち位置はゲームの枠組みとしては必要なのでしょうけど、ゲーム的には
上手く働いてないのでは。プレイヤーとしての探偵役は、推理を達成したという爽快感や
モチベーションがあって成立するものだと思いますので。
アドベンチャーゲームとしてそこそこの出来だと思いつつプレイしていましたが、最終章で
その判断を180度変更せざるを得ないと感じました。
そこまでの推理の積み重ねをほぼゼロにしてしまう、新たに明かされる「真相」と
名探偵の「真実」の推理、そして真犯人の告白。
……アンフェアです。
少なくとも、本格ミステリファンにはお勧め出来る作品ではありません。
そして、ミステリ・アドベンチャーとして、「推理」をゲーム的に楽しみたい方にもお勧め
出来る作品ではありません。
小学生の頃に読んでいたジュヴナイルなライト・ミステリを、今現在のスタイルで
遊んでみたい、という方に触っていただく作品なのではないかと。