視覚以外の五感を失った代わりに、その感覚を視覚で把握できる能力に目覚めている日暮旅人と、彼に関わる人々を描く物語。連作短編になっており、今回は「老舗の味」「死体の行方」「母の顔」「罪の匂い」を収録している。1本目と3本目は前巻の雰囲気に近いけれど、2本目と4本目は少し暴力の香りがする。
老舗の味は街の小さな洋食屋に関わる、母の顔はシングルマザーに関わる、親と子の物語という共通点がある。また、死体の行方と罪の匂いには、友人同士の関係という共通点があると思う。こう考えると、人と人の関係がテーマと言えるかもしれない。
旅人が彼の持つ能力を使って、物事の善悪・大きさにかかわらず解決していく過程で、彼が過去に出会った、五感を失くした事件にかかわる事実が少しずつ浮かび上がって来るという構成になっている。
前巻よりアクションが多くなった印象があるので、前巻の雰囲気が特に好きだった人には少し違和感があるかもしれない。しかし、旅人が被害にあった事件に元々バイオレンスの要素がある様なので、今回の雰囲気がこの物語のデフォルトなのかもしれない。