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排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異
 
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排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異 [単行本]

ジョック ヤング , Jock Young , 青木 秀男 , 伊藤 泰郎 , 岸 政彦 , 村澤 真保呂
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異 + 後期近代の眩暈―排除から過剰包摂へ
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

 排除はつぎの3つの次元で進行している。(1)労働市場からの経
済的排除、(2)市民社会の人々のあいだで起こっている社会的排除、(3)防犯・安
全対策の名の下に進められる犯罪予防における排除的活動。

 本書は、こんにち(後期近代)の社会が、70年代までの安定的で同質的な
「包摂型社会」から、変動と分断を推し進める「排除型社会」へと移行したと捉
え、その構造とメカニズムを分析している。そしてこの悪夢のような現状をどの
ように克服するかを検討している。

 いまや、逸脱や犯罪の原因を追求し更正させるといった包摂型の政策は重視さ
れなくなり、リスク評価を基準に、不審者の「奴ら」をあらかじめ排除・分
断・隔離するといった、保険統計的な犯罪予防政策が主流となった。本書はこの
ような排除型の政策を厳しく批判する----「シングルマザーやアンダークラ
ス、黒人や放浪する若者、麻薬常習者、クラック常習者などの、コミュニティで
弱い立場にある人々が、針で突つき回され、非難を浴びせられ、悪魔のように忌
み嫌われるようになった。このような新たな排除の世界にあって、本当に革新的
な政治をおこなおうと思えば、私たちを物質的な不安定と存在論的な不安の状態
に置いている根本原因、すなわち正義とコミュニティという基本問題を避けて通
ることはできない」。

 だからといって、かつての包摂型の社会を懐かしんでも気休めにもならない。
ノスタルジーにふけり、かつての包摂型の政策をそのまま復活させることは、
いっそう息苦しい社会を招きかねないからである。わたしたちが取り組まなけれ
ばならない課題は、新たな形態のコミュニティ、市場の気まぐれに左右されない
雇用、八百長のない報酬配分----これらをどう実現するかなのである。

 この排除型の社会にあわせて生きていくしかない...などと、決して諦めては
いけない(これこそ著者が最も強調している点である)。

内容(「BOOK」データベースより)

本書は、こんにち(後期近代)の社会が、包摂型から排除型の社会へ移行したという認識のもと、排除型社会の構造と文化を分析し、批判し、あるべき社会の諸原則を構想したものである。

登録情報

  • 単行本: 541ページ
  • 出版社: 洛北出版 (2007/03)
  • ISBN-10: 4903127044
  • ISBN-13: 978-4903127040
  • 発売日: 2007/03
  • 商品の寸法: 18.4 x 13.2 x 4.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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49 人中、47人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
前書きにもあるが、本書の根底には、近年の犯罪政策の主流であるゼロ・トレランス政策(厳

罰主義)の科学的基盤である保険統計主義(データベースにもとづく効率的な予測技術)が、

本質主義(少数者にレッテルを貼ることによる差別的理解)や新自由主義と結びつくことによ

り、犯罪対処の産業化を推し進めている事態にたいして、犯罪をなくすためにはその真の原因

である社会を改革しなければならないのに、その正反対に向かっていることへの批判がある。

しかし本書の特徴は、そうした犯罪政策をめぐる変化から、その背景にある経済・社会・政治

・歴史へと考察を広げ、近代社会から後期近代社会への移行とその問題の大枠をクリアに整理

した点にある。むしろそちらのマクロな議論のほうが勉強になるくらいである。

興味深いのは、犯罪を雇用問題とからめて論じた著作は他にもけっこうあるが、さらに本書

では「存在論的不安」、つまり近代人の内面の問題にまで踏みこんで、それらのつながりを論

じている点である。そのことが本書をたんなる社会理論の書ではなく、人間のあり方への洞察

にもとづく思想的深みのある本にしている。

タイトルにある後期近代に登場した「排除型社会」は、皮肉なことに、もはや「社会」と呼べ

るような代物ではなく、むしろ社会が根底から破綻したこと、私たちは社会を根本的に再構築

しなければならない状況にあることを意味している。

私たちが現在いる状況を総括し、「これから何を考えなければならないか」を明確にしてい

る良書で、社会問題や社会思想に興味ある人なら誰にでもお勧めできる内容になっている。

分厚いわりに訳文が読みやすいので、読むのに苦にならない。
このレビューは参考になりましたか?
24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「包摂型」であった現代的な大衆社会統合は、今日「排除」を特徴とする後期近代へと移行した。新自由主義改革の下で雇用の非正規化は進行し、社会の分裂傾向は多様なアイデンティティの「本質化」をもたらした。このような物質的な基盤の変化が、今日の犯罪の激増をもたらしたのである。本書の眼目は、こうした社会構造の変化に対応して今日隆盛を極めつつある、犯罪に対する「保険統計的」「リスク管理的」アプローチに批判的検討をくわえ、かつ、従来型の福祉国家への回帰ではないオルタナティブな社会契約を構築することにある。排除型社会では、多様性は承認され、排除され、危険視されるのは服従しない人々と危険階級である。これらに対する予防的・リスク管理的支配は、アメリカのごとき「収容所列島」をもたらすであろう。後期近代に対応した社会的分配の確立、市民権の確立、正義の実現こそが、排除型社会のオルタナティブであるとする。「多文化」主義、あるいは反近代主義的な伝統主義への固執に批判的なスタンス(このアプローチはデビット・ハーヴェイと似ている)を貫いている点からも、著者は社会民主主義のバージョン・アップを試みているといえるだろう。本書のように「犯罪」について、社会学の枠組みをこえて、社会構造的・包括的なアプローチから分析する視角は、実は今日の犯罪学などでは希なのだ。その意味でも参考になる貴重な一冊だ。
このレビューは参考になりましたか?
42 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
いまだに燻っている「オールド・リベラル」への淡い期待が、幻想に過ぎないこと、
ネオリベラルとオールドリベラルが同根であることを嫌というほどわからせてくれる1冊。
「格差」「排除」といったキーワードは、いまや時代の寵児ともいえる誠に美しい社会状況だが、本書はそうした多くの書物群の総括的意味を持っているのではないか。
ジクムント・バウマンが推薦するだけのことはある。
ところどころ提議に対する結論が急ぎ過ぎで、論証に欠けるように思われる部分もないではない。
そうした部分をどのように判断するかは、結構本書の肝になっている。
とはいうものの、排除の動態を労働、市民社会、犯罪の各レベルに腑分けし、捌いていく筆致は誠に空が晴れるようだと言えばよいだろうか。
今日ほど世界思潮が、一般民衆の生活に土足で入り込んできている時代はない。
「哲学や思想なんて関係ない、そんなものは知らなくても生きていける」というのは、確かに永遠の真理かもしれないが、どうも雲行きが怪しくなってきているゾ!

「ロベスピエールは、所詮ルソーの手、ジャン=ジャック・ルソーの血にまみれた手こそがマキシミリアン・ロベスピエールに他ならない」
というハイネの名文句が、最近恐ろしいリアルさで迫ってくる気がする。
ハイネの19世紀と21世紀の今日では、当然時代相は違うが、偉大な詩人・哲学者の慧眼は特殊を超えた普遍法則を歴史のなかに見ていたのではないか。
ケインズも「恐ろしいのは思想である」であると喝破した。
今日のおぞましい歴史環境、これらは皆、思想の帰結ではないのか。
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