プロレカリアートという造語で知られる知られる著者が「排除」をキーワードに、派遣社員やシングルマザーを初めとする社会の弱者の窮状を怒りを込めて訴えた本。自身の現場ルポが少なく、他者の著書や新聞記事の引用を中心に纏めているので、著者の憤りが素直に伝わって来ない恨みがある。また、同じ文章が何回も出て来る等、推敲が不充分な感じを受ける。
そして、ある事例を採り上げては、社会・企業・地域社会から弱者が「排除」されていると繰り返し訴えるだけで、構成力の乏しさを感じた。「排除」の実例では、確かに著者の意見に頷ける点もあるのだが、本書の欠点は処方箋が書かれていない事にある。著者の憤りが妥当だとしても、「それでは、どうしたら良いか」と言う点が具体的に書かれていないので、どういう社会を我々が築いて行くべきか不明である。本当に困った方が、どういう対応を取ったら良いかも散発的にしか書かれていない。
また、著者の論旨が少しオカシイと思うのは、例えば「派遣切り」において、企業が派遣社員を「排除」していると言って痛罵するが、企業全般を否定している訳ではなく、その救済を企業に求めているように思える点である。企業に「唾を吐く」なら、いっその事、企業(あるいは資本主義社会)を全否定した方が筋が通るのではないか。私には、著者が企業・政府等を都合良く「排除」しているように見えた。「排除vs排除」の不毛の構図である。
社会的弱者に焦点を当てて、"社会の空気"を糾弾するという姿勢は第一弾としては良いと思うが、是非、処方箋に比重を置いた続編を書いて欲しいと思った。