両A面でどちらに思い入れるのもその人の自由だと思います。で、「くるみ」の方が若干人気が高そうなので、「掌」について
(「くるみ」も嫌いではありません。「桜井さんまた、上手いこと言うなぁ」と思いました)。
この曲の歌詞は明らかに(いや、わかりやすすぎるほど)、リリース当時起きていたイラク戦争についての暗示とそれに
対する桜井さんのメッセージが込められています。間奏で繰り返される「ひとつにならなくていいよ」というフレーズの
いうところの「ひとつになる」というのはおそらく、その戦争や「9.11」を引きおこすきっかけとなったアメリカ流の
グローバリズムのことです。
ところが、僕が書く以前のレビュー(全60件)をすべて読ませてもらいましたけど、くるみに言及しているものはともかくとして、
掌に言及しているもので、この「アメリカ」や「イラク」について言及されているレビューは皆無でした。
たしかに、そういった読解の仕方はもう古いと言われればそれまでです。しかし、文学や流行歌の歌詞をその時代の文脈に
依拠して読むということは、昔の人には普通に備わる「リテラシー」であったはず。それを桜井和寿の内的な葛藤や、エヴァ
への言及というように自分たちの身の回りの事象として過小にとらえるのはいかがでしょうか。
それとも政治的な読みというのをファンの方々は自ら抑圧されているのでしょうか。
宮台真司さんによれば、当時年間TOP100に入ったシングルで、政治的な言及をしているのはこのミスチルの「掌」と、
桑田佳祐の「Rock'n Roll Hero」のたった二作だけだったそうです。
このシングルのメッセージを、ミスチルというミリオンアーティストが歌い上げたということは、今の時代、
かつてないほどに意義があったのだと思います。