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収録された小説は100篇以上で、全部で500ページを超えているので、かなり長い間楽しめると思います。
川端康成といえば一般に詩的で繊細といったイメージですが、雪国や伊豆の踊り子とはまた違った趣の作品もあるので、飽きずに読み進めるでしょう。
それでもやはり私が一番お勧めするのは、詩情豊かで繊細な『雨傘』です。たったの3ページであたたかい気持ちと切ない気持ちとを同時に味わうことが出来ます。
また、視点が本当に繊細で、たとえば恋愛感情ひとつとっても、好きな相手の服に触れることでその相手を抱き締めたつもりになるとか、「あーわかる。けど普通、こういう風に言葉にはなかなかできないよね」というものがたくさん。生まれながらにして作家とはこのことだと思いました。
「雪国」の世界を理解できなくて「川端康成って、本当にいいの?」と思っていた私ですが、「掌の小説」を読んでやっと川端康成の本質をつかめたような気がします。
川端は ある時期に 詩を書きたいが書けず その代わりに掌編小説を書き散らしたという言い方をしている。そう言われると 散文詩の趣もないわけではない。但し 例えば三好達治あたりの散文詩と比較すると もう 全く違った世界である。三好が書いているものは 長くても確かに詩である一方 川端が書いたものは 短くても どうしようもなく小説である。その意味で本作は小説と散文詩の違いを際立たせるという点でも ユニークな作品であると思う。
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