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加納朋子さんの作品は、別の短編集で『裏窓のアリス』を読んだのが初めてだったのですが、そのあったかい作風にすぐひきこまれてしまいました。それで、他の作品も読んでみたいなあと思って買ってみたのがこの作品です。
誰も死なないし、誰も悲しまない。あったかいミステリーです。なんといっても、キャラクターがとっても魅力的。
主人公(?)圭介が、ふとした偶然から一人の女性と出会うところから話が始まります(ま、そのまえに、きちんと一つ”謎解き”があるんですけどね)。
最初は名前も教えてくれない。そして、”偶然”はいった小粋なバー「エッグスタンド」での会話の中から、彼女の名前を当ててしまう。。。自由奔放、ストレート、かわいいような小憎たらしいような、彼女のキャラクターがとってもステキ。圭介がグイグイ彼女の魅力に引き込まれてしまうのがわかるような気がします。
死体は出てこないけど、立派なミステリーです。
全体は5つの短編で構成されていて、主人公であるクールで頭のいい、少しだけ皮肉屋(それが自分でも欠陥だと思っている)青年冬城圭介が、とある出来事から参加したパーティーでまっすぐできらきらしている女の子に出会い、お互いが語り合う形式で物語りは進んでいく。
わたしが好きなのは2番目の話、まさに2人が出会って彼女が圭介に感嘆する話だ。パーティーから彼女を誘い出すために、彼女がボーイフレンドに語って聞かせた高校生時代のエピソード(彼女自身は謎だともなんとも思っていない)の謎を鮮やかに解いてみせ、見事に彼女の関心をひく。
それは種明かしになってしまうので詳しくはかけないが、彼女を思うお祖母さんとの思い出話で、とても心が温まる上に、彼のような人が身近にいたらいいだろうなぁと楽しくなってしまう。男性なら、彼女のような人がそばにいたら毎日が楽しいと思うだろう(実際、圭介はそう感じていて、そんな自分に驚いている)。
ちなみに、彼女を誘い出すことに成功した圭介は、銀座で前に部長のお供できたことのある店に彼女を連れて行こうとするのだが、そんな店は高いに決まってるわという彼女がここでいいじゃない、と勢いよく扉を押して入っていったお店で語りあう。その店も、なんとも素敵な店なのだ。女性バーテンダーが一人で切り盛りをしていて、季節の花が大胆に生けられていて。 舞台設定、登場人物の設定、ささやかだけれども心躍る事件と仕掛けがたくさんの、超おすすめだ。
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