前半(主に第一編)は現在の警察への叱咤激励、後半(主に第二編)は警察のみならずビジネスマンらも活用できる事例・教訓・名言集、といった体系である。
「『任意か強制か』なんか、お前にとやかくいわれる筋合いはない!」(P46)、「人をぶん殴ってけがをさせておいて、民事もへったくれもあるか!」(P47)、「裁判官は、『疑わしきは被告人の利益に』だから無罪にする。他方、警察官は、疑わしきは疑わしいから捜査するのである。」(P56)などの記述は、「民事不介入」の誤った呪縛にかかった警察官の執行力低下が叫ばれている中での、後輩警察官への強烈なエールといったところであろうか。同時に、「何のために法を学ぶのか」等の中で、中途半端な法律の勉強・解釈を戒めている。
本書中の言葉では、「幹部に必要とされる大事な資質は『判断力』だと思っている。『事の軽重の判断、緩急の判断力』である」「犯人を捜すより犯人を知り得る人を捜す」「決断とは『捨てることなり』」「私心を捨てる。その前に野心を持つ」「(判断力と決断力を身に付けるためには)質の良い経験を積む」などが印象に残る。いずれも、活字で読めば当たり前のことと思えることかもしれないが、捜査の現場で指揮を執ってきた岡田氏、寺尾氏の言葉だけに真実味・説得力が増す。
警察・捜査もの(小説・ノンフィクション)のファンら警察についてより深く知りたい人には、特におすすめ。そうではないビジネスマン(特に経営者や幹部クラス)は、第二編だけでも一読の価値がある。