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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
われわれはすでに神なんだ,
By mad18 (群馬県前橋市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 捕食者なき世界 (単行本)
神になってしまった人間。しかし、ギリシャ神のように世界を掻きまわしどうにもならなくなった神なのだろう。事は動物や植物だけではなく、我々の世界システムの問題ってことがよくわかる、良書である。捕食者、中間捕食者、被捕食者と累計されているが、実はそう簡単な話ではなく、その環境にいるキー捕食者が何かと言う事すらわかりかねる場合が多ことなど、非常にたくさんの例をあげている。環境保護と言えば、バンビが可愛い、猛禽類を救え、森林を増やせ、砂防ダムはやめろってことになることが多い。しかし動植物と人間行動影響も記載され、我々の社会を守る防災や地球システム全体を考えるためのきっかけになるだろう。
16 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
直ちに日本のシカの食害を思い出させる本,
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レビュー対象商品: 捕食者なき世界 (単行本)
本書はアメリカおよび諸外国で、「生態系が崩壊したのは、食物連鎖の頂点にある頂上捕食者(トップ・プレデダー)の絶滅による」という仮説を追ったスリリングなルポルタージュである。 トップ・プレデダーに擬せられる動物はハイイログマ(グリズリー)、ヒトデ、コヨーテ、アメリカオオカミ、ピューマなどである。 この話を聞いて直ちに思い出すのは、日本におけるシカの異常繁殖とその食害である。 日本(特に本州以南)の頂上捕食者はニホンオオカミであろう。しかし、ニホンオオカミは1905年に絶滅している。 その後105年ものあいだ、シカが増えず、近年になって増えたのはなぜか。本書の仮説に従えば、その105年のあいだ、 オオカミに代わる頂上捕食者がいたことになる。いったい何者か。 そのトップ・プレデダーに当たるもの、それは林業従事者であったと私は推測する。林業従事者は植林した林を守るためにシカを退け、 時には食べた。しかし、シカ肉は生の新鮮なものを刺身で食う以外はまずい。美味しいイノシシや、ウサギ、ツキノワグマ、カモ、キジなどのように 捕食の対象にはしにくい。そこで、食べる以外の方法でシカを林から退けた。餌場をなくしたシカは増えることが出来なかった。 その後、林業は衰退し、林をシカから守るべき金銭的価値が消えた。日本の森のトップ・プレデダーは「絶滅した」 というのは僕の推論も混ぜた説だが、本書の中ではきちんとした学者さんが、日本の頂上捕食者についても書いている。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
オオカミが消えると森が死んでしまうという仮説,
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レビュー対象商品: 捕食者なき世界 (単行本)
【大型肉食獣と生物多様性】優れたビジネスパースンは、仕事上の仮説を立て、それを自らのビジネスを通じて検証していくのだが、この意味で『捕食者なき世界』(ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、野中香方子訳、文藝春秋)は参考になる。また、生物多様性に関心を持つ者にとっては、衝撃的な内容が詰まっている本である。 「オオカミなどの頂点捕食者(トップ・プレデター)がいなくなると、森が荒廃してしまう」という仮説の出現が、半世紀に亘り生態学上の世界観を巡る論争を巻き起こしてきたが、この仮説は圧倒的な反対論の前では少数派であり、異端扱いされてきた。頂点捕食者とは、食物連鎖の捕食ピラミッドの頂点に位置するオオカミ、ピューマ、ハイイログマ、ライオン、ジャガーなどの大型肉食獣のことである。何らかの要因で、このピラミッドの頂点から大型の捕食動物が取り除かれると、生態系は土台から崩れていく。地球上のそれぞれの場所で、その生態系が多様性と安定を保つことができるか、あるいは無秩序で貧弱なものになってしまうかは、頂点捕食者の有無に懸かっているというのだ。 【「緑の世界」仮説のエヴィデンス】 この論争の発端は、1960年に発表された生態学の3名の異端者、ネルソン・へアストン、フレデリック・スミス、ローレンス・スロボトキンの「緑の世界」仮説に遡る。この世界の陸地が緑なのは、つまり大部分が植物に覆われているのは、草食動物が全ての植物を食べ尽くすことがないからだ。そして、草食動物がこの世界を土だけの世界に変えてしまわないようにしているのは捕食者だ。すなわち地球の緑は捕食者によって維持されているとする仮説だ。アリゾナ州北部のカイバブ台地は、かつて、どこまでも続く草原や湿原が広がる美しい魅惑的な土地であった。しかし、「いてしかるべき敵(頂点捕食者たるピューマとオオカミ)の不在(人間による駆除)が、シカに深刻な不幸をもたらしたことは明らかだ。全体としてシカは、それらの敵によって適正な数を維持し、食料の過剰摂取を防いでいるのだ」と述べられているように、この台地では食料となる植物を食べ尽くしたシカの多くが餓死し、遂に消滅してしまったのだ。ヘアストンらは、この「カイバブの悲劇」を「緑の世界」仮説のエヴィデンスだと主張したのである。 1966年にロバート・ペインの「栄養カスケード」仮説が発表された。ワシントン州のオリンピック半島の海岸で、ヒトデが磯のキーストーン種だということを突き止めたのである。キーストーン種とは、その生物を取り除くと、食物連鎖のピラミッドが崩れてしまうほど影響力の大きな種のことだ。 2001年には、ジョン・ターボが、ベネズエラ東中部のグリ湖の小さな島々で起きた生態系のメルトダウン(熔解)を報告した。肉食動物のいない小さな島は草食動物アカホエザルの天下となるが、やがて食料となる植物を食べ尽くしたアカホエザルは死に絶え、島全体が棘だらけの蔓植物に覆われて、「緑の世界」を土気色に変えてしまった(ハキリアリも一要因)という警告である。 【オオカミ導入の成功例】 失われた生態系を甦らせるため、遂に科学者が立ち上がった。その最大の成功例は、ワイオミング州北西部を中心とするイエローストン国立公園へのオオカミ導入(復活)と言えるだろう。1995年と翌年にカナダから移された31頭のオオカミが、今では1,000頭以上に増え、一方、1990年代に20,000頭にまで膨れ上がっていたワピチ(アメリカアカシカ)は、現在、10,000頭以下に減っている。これにより森林被害が改善され、生物多様性が回復していると報告されている。このほか、アリゾナ州でも1998年にオオカミが導入されている。
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