主人公の男性二人は、学生時代に互いによく通った喫茶店で、他のバイク仲間達と知り合い、「いつかは北海道ツーリングに行こう」と盛り上がる。しかし、それから6年が経ち、約束が延び延びになり、仲間も互いに疎遠になった。そんなある日、主人公の一人が、思い出の喫茶店に行ってみると、店内のコルクボードには、こんな貼り紙があった。「モンテッサ・ツーリングクラブの諸君!今年の夏こそ北海道に行こう。8月12日朝、苫小牧フェリーターミナルに集合・・・」。苫小牧のフェリーターミナルで落ち合った二人は、目的地である360度の地平線が見渡せるという中標津の開陽台を目指す。そこには、かつて約束を誓った他の仲間達も来ているはずだ、という期待を胸に・・・。私がこの小説を初めて読んだのは、ちょうど大学1年の時だった。主人公達と同じく、北海道へのツーリングにひたすらあこがれている頃だった。大学2年の夏に私は北海道ツーリングに行った。主人公達は、学生時代にはそれを果たせず、社会人になってからそれを実行しようとした。学生時代のひたむきさと、社会人になってからの自分でも気づかない保守的で現実的な姿勢。主人公達は、自分たちの心境の変化に気づき、葛藤する。今、あらためて読み返してみると、社会人として、また新たな視点から主人公達を見ることができ、小説の中での数日間のツーリングが、以前とは違った日々ように感じた。北海道ツーリングを舞台にした、すがすがしくもほろ苦いストーリーに、夏の北海道の風を感じました。