日本の大企業のいわゆる「学校エリート」がいかに安全地帯で挫折を避けているか、そしてその結果、修羅場のガチンコ勝負では決定的に弱いかをつぶさに観察してきた著者による「挫折力」のすすめ。
事業再生という修羅場で、当事者として再生対象の企業にかかわってきた著者は、歴史上の人物を引き合いに出しだけでなく、自らの豊富な挫折体験についても率直に語っている。
学校エリートが幅をきかせているのは日本の大企業であるが、守るのに汲々として捨てるのを怖がっているのは、大企業だけでなく、中堅企業のエリートも同じだろう。
しかし、すでに安定した時代は終わって「大競争時代」にあるのが、いまの日本社会である。グローバル競争のもと、不安定で不安定な状況は今後も終わることなく続き、それが当たり前の状態となる。
「一寸先は闇」といったら大げさと笑われるだろうが、著者と同世代で、同じく時代の荒波に翻弄されてきた私には、腹の底から共感できる内容である。私も、勤務先が破綻する経験や、数々の修羅場を経験して現在に至っている。
とくに私が共感したのは、「世の中のいわゆる「成功哲学」の欺瞞について」という一節だ。成功体験を語ったビジネス書があふれている現在の日本だが、後知恵で語った成功哲学など再現性に乏しく、成功物語はレアケースに過ぎないと断言する著者の発言には、まったくそのとおりだと強く同感した。
チャレンジしたら失敗するのは当然だ。失敗から学び、挫折から学ぶ。自分自身の体験から得た教訓だから、他人の説教やアドバイスよりもはるかに身にしみる。数々の失敗がまた人間を成長させる。挫折もまた同じだ。若いうちの挫折は人生の財産である。何よりも挫折に対する免疫力がつく。
本書には「挫折力」のポイントが50にまとめられている。いったん読み終えたあとも、このポイントをときどき読み返してみるといいだろう。
よく言うではないか、「若いうちには積極的に失敗しろ」と。
だから「むしろ積極的に挫折せよ!」という著者の熱いメッセージは、若者と若い心をもったすべての日本人への応援歌なのである。
悔いのない「ほんとうの人生」を送りたいと切望している人には、劇薬だからと敬遠することなく、ぜひ手にとって読むことを強く奨めたい。