ハミルトンの原作は高度なSFXを駆使した近未来映像に馴れてしまった現代の読者にとっては今一つの印象かも知れない。科学知識にしても前近代的なものと言えるだろう。だが、それでも、典型的なスペースオペラとして一時代を築いた功績は正当に評価したいし、若いSFファンにも読んでおいて欲しいシリーズの一つだ。
野田氏の訳に関しては、原作でオットーが「キャプテン」をチーフと呼び、グラッグはマスターと呼ぶなど微妙な英語のニュアンスを表現するのに苦心した訳だ。好き嫌いはあるのかも知れないが、昔、この訳で読んだ私としては懐かしい文体だ。この全集はあくまでハミルトン原作、野田訳の早川版の完全復刻と言う位置付けにある。多くのオールドファンの要望に応えての復刻ゆえ野田訳で正解だと私は思う。