ワーグナーの「指輪」に触発されて制作されたアルバム。指輪が象徴するパワーが,他人を思いやれるような大きな愛の力として全ての人々の心に宿ることができれば・・・という願いが込められているようだ。
静かに軽やかに流れるフレーズに切ないほどの愛おしさを感じる「Steps Of Maya」(Mayaは彼女の愛娘の名前)。クリスタルでエレガンスな「Venus Of The Sea」はグルーヴィーでしなやかな身のこなしがいかにもスムース・ジャズ。メロウで謎めいた雰囲気とブルージーな雰囲気を併せ持つ「Prism」もいい。
「The Next Plateau」は,穏やかな旋律の中に深い慈愛を感じるバラード。ソロ・ピアノ・バージョンでは繊細なタッチが胸に染みる。切ないほど愛おしく穏やかなフレーズで幕を開ける「Messenger」は優しさと温もりのあるクライマックスの展開が素晴らしい。物静かで愁いを帯びたフレーズで始まるタイトル曲「The Ring」は,徐々にシンフォニックに盛り上がり,雄大でドラマティックなエンディングを迎える。「Preccious Time」は春の小川のせせらぎのように心地よいナンバー。
9.11のテロ事件の後に制作されたアルバムということもあってか,深い悲しみと,その悲しみを乗り越えた慈愛に満ちた優しさを感じるアルバムだ。