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指揮者の役割―ヨーロッパ三大オーケストラ物語 (新潮選書)
 
 

指揮者の役割―ヨーロッパ三大オーケストラ物語 (新潮選書) [単行本]

中野 雄
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

オーケストラにとって指揮者は不可欠のカリスマか、それとも単なる裸の王様か?どんな能力と資質が必要とされるのか?ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、そしてアムステルダムのコンセルトヘボー管弦楽団を舞台に、フルトヴェングラーからカラヤン・小澤をへてゲルギエフまで―巨匠たちの仕事と人間性の秘密に迫る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中野 雄
1931年、長野県松本市生まれ。音楽プロデューサー。東京大学法学部を卒業後、日本開発銀行をへて、オーディオ・メーカー「ケンウッド」の代表取締役CFO、昭和音楽大学・津田塾大学講師を歴任。LP・CDの制作でウィーン・モーツァルト協会賞など受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 319ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/09)
  • ISBN-10: 4106036886
  • ISBN-13: 978-4106036880
  • 発売日: 2011/09
  • 商品の寸法: 19.3 x 13.1 x 2.7 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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By mfhty トップ500レビュアー VINE™ メンバー
 本書は、副題に「ヨーロッパ三大オーケストラ物語」とあるように、ウイーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団の3つのオーケストラを中心に、オーケストラを語った本です。
 本書はこれらのオーケストラの歴史を淡々と史実に即して語った本ではなく、音楽に長年かかわってきた著者が多くの音楽家たちに語りかけて得られた証言をもとに、3つのオーケストラについて著者独自の観点でその輪郭を描き出しています。
 「指揮者の役割」という主題ですが、むしろ指揮者、コンサートマスター、演奏者など多くの人でオーケストラが構成され、それぞれの技量や想いが演奏を形作っていることがわかる本です。

 3つのオーケストラにまつわる話ですが、それにとどまらず広範囲に話が及んでおり、また相当たくさんのコメントを集めています。著者独特のもってまわった修飾語の多い文章で300ページ余りもあるので、読み終えて「どっぷり音楽の話に漬かった」と言う感じがする本であり、少し疲れる感じもします。
 けっこう興味深いエピソードもたくさんある反面、「ちょっと著者の観点が入りすぎ」という部分もあって、その評価は人それぞれでしょう。
 私は、特にコンセルトヘボーの指揮者やコンサートマスターがどのように演奏を形作り、このオーケストラの歴史を作ってきたかというストーリーが一番興味深かったです。

 それぞれの証言の真偽・取捨選択、著者の主観的な見方・好みなどの要素が入っているので、この本に書かれた内容が「史実に即した客観的事実の記述」というわけにはいかないでしょうが、「一つの主観的な視点から見たオーケストラ観」として読めばそれなりに楽しめる本と思います。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By トップ500レビュアー
この本の本当の魅力は、ヘルマン・クレッバースを始めとするヨーロッパクラシック界を貫く風雪に鍛えられた「知」と語り合った内容にある。
著者が生きる過程で培われた人脈により織り成された貴重な証言がある。それは、長年の信頼関係で築き上げられたものであり余人を以っては成し得られない独自のものであり底光りを放っている。
その内容は、所謂目利き(耳利きか)の世界の事柄である。
それは、この本のそこ、ここに散りばめられており読者を魅了させる。非常に興味のあることであり十分堪能出来る。
なお、クレッバースにはヴィオッティの22番等CD(オランダ・フィリップス)がありそこには、グァルネリの最上の音が鳴り響いている。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By たけ
様々な指揮者との関わりを通じて、ベルリンフィル(BPh)、ウィーンフィル(WPh)、コンセルトヘボウ管(RCO,古くはACOだったが前者で統一)について語った本であり、副題の「ヨーロッパ三大オーケストラ物語」の方が内容にふさわしい。

この著者の他の本と同じく、演奏者や業界関係者の証言が中心である。RCOの元コンサートマスター、ヘルマン・クレバースが自分の経歴やRCOコンサートマスターに就任したいきさつについて語った部分は貴重である。しかしその他の部分については首をかしげたくなる部分が多い。

有名オーケストラ奏者誰それが某指揮者についてこう評した、等と聞かされると、我々はその評価があたかも客観的事実であるように思いがちであるが、果たして本当にそうなのであろうか。オーケストラは百人を超える演奏家の集まりであり、指揮者に対する評価は人それぞれであろう。著者は様々な証言の中から都合のよいものを選択して自分の主張を正当化しようとしているように感じられてならない。また、それらの証言は正確に引用されているのか、建て前か本音か、証言者の認識自体に問題はないのか、・・・あまり信用しすぎない方がよかろう。特に、特定の演奏家を批判する場合にこの手法が使われると、客観性を装っている分悪質で、読んでいて後味が悪い。

例えば他の評者も引用しているが、アバドがWPhに呼ばれなくなった件。コンサートマスターの1人が「彼はBPhの音楽監督になってから偉くなってしまい、勉強しなくなったから」と言ったとのことだが、これはWPhの総意なのか?コンマス氏の本音か?(アバドがBPhとの活動に軸足を移したことに対する皮肉・正当化《あの葡萄は酸っぱい、というようなもの》あるいはただの冗談ではないのか?)はっきり言って疑問である。私はアバドのファンというわけではないが、読んでいていやな気持ちになった。

それから、シャイー就任後RCOの音が変わった理由を「シャイーがコントラバスの運弓をフランス式に変えたから」と述べているが(アムステルダム在住の弦楽器製作者の話しとのこと)、ヨッフムやクライバーがRCOを指揮した映像(これらはシャイー就任以前のもの)を見ると、当時からフランス式の運弓を採用していたことが分かる。著者はこれらの映像を「好きなCD&DVD」として巻末のリストに挙げており、さらにp. 226にはフランス式に弓を上から持って弾いているコントラバス奏者がばっちり写っている写真(ヨッフムRCO最後の来日公演のものに間違いない)まで載せているのであきれてしまう。著者は気付かなかったのであろうか。
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