日経ビジネスオンラインなどにもよくコラムを書いておられる、指揮者、東大准教授の伊東乾さんが書き下ろした仕事術の本ということで、指揮者がオーケストラをまとめて総合力を発揮するための方法を学び、ビジネスシーンにおいてリーダーが持つべき信条や仕事術を学びたい、と思って買ったのだが、いい意味で期待を裏切られた。
一つ一つの内容が非常に濃いのだ。指揮における関節の動き、バーンスタインやブーレーズのリハーサルの様子、第9交響曲の歌詞に秘められたべートーヴェンの真の思い、ヴァーグナーが設計したバイロイト祝祭劇場の音響効果・・。作者が実感したことが生の言葉で語られ、実に面白い。
ただ、これらの内容を一般の仕事術に落とし込もうとするところはかなり無理があると感じた。なぜこんなにオリジナリティに満ちて面白い内容を「仕事術」の狭いカテゴリに収めなければならないのか。出版社の企画ミスだと感じた。