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この年齢になった僕は、誰かのために命を捧げるどころか少しの親切すら与えることが出来ないままでいるような気がします。
「特攻」という作戦を何故、隊員達は受け入れることが出来たのか?そんな疑問を持ってこの本を手にしました。
戦争という異常な状況の中であったとしても、誰もが皆「万歳!」と叫んで命を投げ出すことが出来たとは到底考えられず、その裏にはどんな本音が隠されていたのかが痛々しく描かれています。
23歳という何もかもがこれからという青年大尉が、死を決意するにあたり「妻を護るために」と思い、結婚という幸福を知らずに死んで行く若い部下の無念を思う。生きた兵器として使われ、花びらのような幸福すら知らずに命を落とした「人間」の真実がここにはありました。
今からでは想像もつきませんが、簡単に、いとも簡単に彼らは特攻、すなわち死を命じられ、死地に赴いていきます。敷島隊として有名な関大尉のケースは、本人も想像できないほどあっけなく、明日の朝死んでくれ、と告げられています。また、中津留大尉の場合は、終戦後、良く戦争が終わったことも認識しないまま、宇垣長官とともに特攻へと赴いてます。生まれたばかりの子供を残し、せめてこの人の命だけは救えなかったものか、と痛切に思います(中津留大尉の父は「宇垣さんがひとりで責任をとってくれていたらなあ」と・・肉親の思いには言葉もありません)。
ふたりの性格はまるで正反対、同期でありながら交流の記録もまったく残っていないようです。こうした若く、優秀な個性を戦争は山ほど奪ったのです。戦争を総括し、こうした犠牲の上に築かれる教訓を引き継ぎ、何らかの結果をもたらしていくことは今に生きる我々の責務と感じるべきでしょう。
本書の最後、特攻した若者の母親が終戦後、いつも海を見つめて「そんなことはないとわかっているんだけど、それでも何年かかかって帰ってくる気がするの」と述懐するくだりは涙なくしては、読み終えることができません。
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