新書と侮るなかれ。半端ではない学術書で、役人から学者に転じた著者の過去10年の仕事の集大成のような本として読みました。OECDデーターから我が国の福祉は高齢者偏重・育児/教育/雇用冷遇である姿を明らかにして、「持続可能な福祉社会」を論じています。長所としては、新たな福祉観を随所に盛り込み、「後期子ども」(30歳位までの教育・就労要支援者)という概念を提唱したり、「定常型社会」という右肩上がりの成長社会からの脱皮モデルを提唱したり、非常に刺激的でかつ論理的です。また、福祉から医療まで幅広く社会保障問題を論じている力作です。しかし、反面それが短所となり、理屈っぽい、分かりにくい、くどいといった印象を持つ面もあります。専門書を読む覚悟で取り組めば☆4つ。ただし、お手軽にその課題の理解を深めたいと希望する新書ラバーにとっては敷居が高いと思われます。 私個人にとっては、大いに参考となり、反復して読みたい本となりました。