人類なき地球に残された一握りのテラナー達の冒険物語とGAVΟK諸種族の活性化を巡るローダンとアトランの暗闘を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第380巻。本国ドイツでの通算760巻目を飾る執筆者は堅実な作風が身上の両雄マールとヴルチェクです。ここまでの作者別登場回数順位はフォルツ150、ダールトン147、エーヴェルス122、マール107、クナイフェル70、シェール51、ブラント38、フランシス34、ヴルチェク33、ショルス4、シェパード3、パットン1となります。突如として地球上から姿を消した200億テラナーの謎はそう簡単には掴めそうにありませんが、残された人々の人間性回復のドラマを読むと未来への明るい希望が感じられ元気と勇気をもらえます。
『氷原アラスカ』クルト・マール著:3582年1月米国アラスカでそれぞれ目覚めた会社重役、学生、技師の3人の運命がやがて交差する。本編では学生と彼を助ける野良犬達との友情に感動し、元K=2ロボット・アウグストゥスの大真面目な態度でみんなを爆笑させる妙技に唸ります。『拠点惑星への使節』エルンスト・ヴルチェク著:ローダンはGAVΟK三角形と名づけた諸種族の拠点惑星に協力を呼び掛ける使節を派遣し、自らもグッキー、メルコシュと共にアコン人・アンティの代表者のいる最重要惑星へと出向く。本編ではアトランが完全に冷静さを失い形振り構わずローダンを妨害する姿に深い悲しみを感じます。両者の周囲の仲間達が二人を支持しながらも冷静に道理を説き、それに逆らわず素直に耳を傾ける二人の姿に、前途多難なれどまだ望みはあるなと思いました。
本巻の翻訳者、渡辺広佐氏のあとがきは高校の同期で開く句会の今春のご報告で、結びの贅沢に思える心配の種が笑えます。当面別々の道を歩むアトランとローダンですが、時間が掛かっても何時か必ず友情が復活する事を信じて祈り続けます。