著者のものとしては『操縦不能』『査察機長』そして本書を読んできたが、作品を重ねる毎に小説が上手くなっていると思わせられる。
操縦不能・・・基本的なサスペンス
査察機長・・・ドキュメンタリータッチ
拒絶空港・・・ディスコミュニケーション
そう、本書のみどころはディスコミュニケーションの描写にあると思う。
読者は、何でこんなに伝達がうまくいかないのか、一丸になるべき事態に何でこんなにバラバラなんだ、というもどかしさを感じると思う。
こういった感じを引き出す構成を、よくぞ構想したと思う。
たぶんいきなり本書のようなものは書けなかったのではなかろうか。
毛色の違う作品を書いてきたことが、本書のための練習になったのではないかと想像する。
計画的・段階的に作品を重ねていったように感じる。
筆者が存命であれば、その小説はさらに進化していったに違いない。
まことに残念であるが、著者にインスパイアーされたパイロットが筆を取るようなことがあればとも思う。