本書は、1977年11月に、新潟で行方不明に成った横田めぐみさん(当時13歳)が、実は、北朝鮮によって拉致され、同地で生存して居るらしい事が報じられた1996年10月から、北朝鮮が、北朝鮮を訪問した小泉首相に、横田めぐみさんを含む日本人の拉致を認め、拉致被害者5人の「一時帰国」を認めた2002年秋までの間に、拉致被害者の家族と、それを支える人々が行なった活動を語った記録である。
本書は、そうした、拉致被害者家族の血のにじむ様な活動の記録であると同時に、日本の政治家、官庁、マスコミ、等が、家族らのそうした活動に、いかに対応したかの赤裸々な記録でもある。その故に、本書を読む読者は、日本の外務省、法務省、政治家、新聞、等が、この問題において、拉致被害者家族に対して、いかに冷たく、無関心な態度を取ったかを知り、怒りを覚えるに違い無い。ほんの一例であるが、1998年の秋に、拉致被害者の家族達が、法務省を訪れた際の、法務省の冷たい対応は、これが、血の通った人間の物かと疑ふ様な、非人間的な対応である。(本書173〜181ページ参照)又、北朝鮮による日本人拉致の疑いが、限り無くクロに近ずいたにも関わらず、一部の政治家達が、北朝鮮へのコメ援助を決定した際の記述は、彼らと北朝鮮との間に、何か特別な関係でもあるのではないか?と、疑はずには居られない物である。
後世の歴史家は、北朝鮮による日本人、韓国人、他の拉致を、20世紀の最も残酷な出来事の一つとして叙述するに違い無い。その際、それらの歴史家は、この本に登場する日本の政治家と官僚の多くを、北朝鮮に協力した、歴史の罪人として、後世に伝える筈である。