本書は、「北朝鮮による拉致被害者家族会」事務局長をつとめ
現在も拉致被害者救出に向けた活動を行う著者が
拉致問題解決にむけた提言を行うものです。
本書ではまず、家族会の中心的メンバーだった著者が
「家族を救出したい」という家族会の主張が、
北朝鮮を打倒したい人たちに利用されているのでは―と考えるに至り、
やがて家族会と距離を置くようになった経緯が述べられます
そのうえで、非難されるべきは北朝鮮
―という姿勢を貫きつつも
日本政府や家族会、救う会これまでの対応に
本当に問題はなかったのか―を検討し
被害者救出に向けた運動はどうあるべきかを論じます。
個人的に興味深かったのは
小泉元首相が拉致問題に積極的でなくなった原因として
被害者の家族が北朝鮮から帰国したときの家族会らの対応
―をあげている箇所。
これが本当なのかはわかりませんが
そう考えてもやむ得ない対応があったこと
そしてなによりも、
それ以降、救出に向けた動きが進展していないことへの焦りや失望
がヒシヒシと伝わります。
また、5人が先に帰国したことが
彼らやその家族を微妙な立場に置くことになった―
という記述は、本当にやりきれない気持ちになりました。
政府や読者に対し、
政治的・思想的立場を超えた
思考停止に陥ることのない運動・努力をうながす本書。
拉致被害者の家族であり、
現在も、被害者の救出に向けて活動を続けている著者だけに
その言葉は重く、説得力に満ちています。
拉致問題に強い関心をお持ちの方はもちろん
一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。