(PAL原盤)とDVDに表記があるように、本来の再生時間100分より3分短くなっていますので、
購入する際には注意が必要です。
画質に関しては、並。ところどころコマ落ちが見られ、髪の毛のようなものが映りこんだショット
(撮影時のものか、現像時に入り込んだものなのかは不明)も1ヶ所みられましたが、
その他は特に大きな問題はないようです。私見ではブレッソン作品のなかでもL.H.ビュレルが撮影監督を
手掛けた際はクロースアップの場面などで人物をソフトフォーカスで捉えている場面が比較的多いように思えます。
それらの印象も含めて画面構成・音声等を検証・確認する際にも今回のソフト化はありがたい限りです。
映像特典等はポスター画像のみと、寂しい限り。それを補う形でのリーフレットのキャスト・スタッフ
インタビュー等内容は充実しています。アンドレ・ドゥヴニの実話をもとにした原作に対しても
言及され、実在の人物であった作中人物、原作との比較等は興味深く読ませてもらいました。
また、恥ずかしながらこのリーフレットによってブレッソンがカトリックでも異端とされる
ヤンセニズム(オリヴェイラの
クレーヴの奥方 [DVD]でも言及がありましたね)に傾倒していた事は
大いに納得というか、初めて知りました。
今回のDVD化にあたり、日本で劇場化された時の『抵抗(レジスタンス)ある死刑囚の手記より』から
より原題に近いものに改められています。このへんはやはり紀伊國屋書店ならではの拘りでしょうか。
初公開時には映画評論家の双葉十三郎氏のみならず「大変な新人が現れた」と(すでに実績があったとは
いえ日本で正式公開されたのはこの作品が最初だったため)一部で驚きをもって取り上げられたようです。
半世紀以上経過した今観直しても、全く古びておらず、作品の持つ力強さには比類がありません。
主人公が脱獄に至るまでの行程、準備描写の細かさ、囚人同士の台詞の的確さ、緊張感。
ブレッソン演出に一切の妥協はなく、最後の場面まで一気に見入ってしまいました。