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抱擁家族 (講談社文芸文庫)
 
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抱擁家族 (講談社文芸文庫) [文庫]

小島 信夫 , 大橋 健三郎
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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   大学講師の夫は、家政婦の口から、自宅に遊びに来るアメリカ兵と妻とが情事を重ねているとの事実を聞き、ひどく動揺する。彼は、なんとか妻との関係を回復させようと、突然子供たちと家の雑巾がけを始めてみたり、米兵にわざと居丈高な態度で振る舞ってみたりするが、どれも滑稽(こっけい)でみじめなものとしかならない。世田谷に家を新築することを決めたりして、どうにか夫婦関係が修復の軌道に乗りかけたその時、夫は愛撫した妻の乳房から、しこりを感じとる。それは乳癌だった。

   著者は、1955年に『アメリカン・スクール』で芥川賞を受賞し、大作『別れる理由』などでも知られる小島信夫。本書は、1965年発表の、彼の代表作との声も高い作品で、翌年の谷崎潤一郎賞受賞作品ともなった。

   本書は、発表当時の日本の時代背景、高度成長期社会の色合いを強く刻印している。しかしそこで描かれる夫婦や家族の微妙な関係、そしてそれが誰にもそう見えないうちに音もなく崩れていく過程は、驚くほどに現代的と感じられる。何気ない日常にひそむ深淵と不安を、ユーモアさえ感じられる重苦しくない文体で、しかし鋭くえぐるようにすくいとってみせる。重苦しさのない分、読者はかえって深刻な悲劇を目の当たりにする思いがするだろう。

   ぎこちないようでいて、ふとした1文で一瞬にして読む者に深い闇をのぞかせてしまう濃密な文章。実は大胆なほどスピーディーなプロット展開。それらがあいまって、結果、本作は何度読んでもくみ尽くすことのできない豊かさをたたえた、希有な傑作となっている。(岡田工猿)

商品の説明

第1回(1965年) 谷崎潤一郎賞受賞

登録情報

  • 文庫: 296ページ
  • 出版社: 講談社 (1988/1/27)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061960083
  • ISBN-13: 978-4061960084
  • 発売日: 1988/1/27
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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32 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
講談社文芸文庫は少し高いので,心配な人は新潮文庫のアメリカンスクールを味見して下さい.村上春樹も紹介しているように,新潮文庫の中の「馬」という短編が,この本の下敷にあるようです.「馬」や「アメリカンスクール」を読んで面白いと思ったら,是非この「抱擁家族」を読まれることをお薦めします.個々の文体は平易で軽いというか,不思議な感覚です.歌で言うと一般の人とちょっとはずれたキーなんだけどはずしてない,という感じでしょうか.しかし,全体の構成はハードというか,読後はずっしりしたものを感じます.さっと読めるんだけど,結構残ると言うか,とにかく読んで下さい.

僕も何年か前に家を手に入れましたが,その中身の家族はどうなのか,どうしたいのか,そんなことを考えながら読みました.

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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
知的職業と一男一女がある家庭が妻の姦通から崩壊する。どんな時代にも国にもあるコキュの物語である。家の崩壊という主題は白人種では父権の不在から神のそれへ、日本では自我問題へと至るので、作家なら一度は取り扱いたい主題らしい。
だがこの小説でわたしが瞠目したのは、主人公三輪俊介の性格造形である。他の登場人物はみなつまらない人間ばかりなのだが、三輪俊介だけどんな(欧米も含む)小説にも現実にも会ったことがない人間性を感じたのだ。「いや、ドストエフスキーの作品にこんな性格の男がいたはずである」という意見もあるかもしれないが、すこしそれは違う感じがする。三輪には薄気味悪くかつ欠落を感じるのだ。さらに小島氏の分身という感じでもないし、戦後を象徴する人物にしては難解なのである。あとは読んでもらうしかないのだが、たんなる家庭崩壊の小説として読むにしても、三輪俊介を観察するのもまた一興と思われる。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 素直に物語として読み解き、キャラクターへの感情移入を求めるのであれば、
あいにくながらこの小説は半ば破綻を来しているように、個人的には思われる。
 江藤淳に指摘されるまでもなく主題は明白、すなわち、戦後日本における
アメリカ的なものの浸潤に伴う前近代的な家父長制、パターナリズムの終焉と変質。
「僕たちが外国から受け入れたものは、矛盾をうんでいる。その皺よせは家の中へくるさ」。
 主人公のこの語りこそがまさにこの小説を象徴する。
 それを意識してストーリーに仮託された寓意を読み解いていけば、無茶苦茶にも
見える描写は一転、極めて巧みな相を現すこととなる。

「三輪俊介はいつものように思った。家政婦のみちよが来るようになってから
この家は汚れはじめた、と。そして最近とくに汚れている、と」。
 旧態依然とした「家」を求める主人公にとって、近代的な意識の侵入はすべて「汚れ」と
みなされる。そしてまた、「家」の瓦解は彼自身の人格の瓦解を意味する。
「家の中をたてなおさなければならない」。
 こうして主人公は例えば外と内とを隔絶する「塀」を画策するも、一度「汚れ」に
支配された「家」がもとの姿を回復することなどもはやあり得ない。
 かといって、自らになじまぬ「シキタリ」に適応できるはずもなく、こうして
彼も徐々にその苦悩と狂いを深め、そんな中、病魔が妻を襲い……

 ほぼ同時代の小説として参照されるべき一冊に三島由紀夫『絹と明察』がある。
「近代」とパターナリズムという共通の主題を持ちつつも、いかにもミシマ的な感性から
切り込まれており、これもまた、名作。
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60年代半ばの、社会の急激な変化への憂いと諦め
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投稿日: 2004/12/31 投稿者: bluepasta
芯から図太い
一言で言えば「ぶっとい作品」です。安部公房や三島由紀夫のような(この二人、タイプ全然違いますけども)才気走った鋭さは感じませんが、ある種の野蛮さがあります。タバコ... 続きを読む
投稿日: 2003/10/29 投稿者: 電気鰻の蒲焼
レビューに引かれて購入しましたが…
この作品が発表された当事と今ではあまりにも感覚の差が有り過ぎるようで、最後迄読み切るのがやっとというのが正直な感想です。... 続きを読む
投稿日: 2002/8/1 投稿者: ALMA_papa
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