齋藤氏らしく、わかりやすく読みやすい本である。するするっと読めてしまった。
いい本だ。
内容も「なるほど」と思えることが多く、ちりばめられたエピソードも豊富だ。
ただ、不思議な物足りなさを感じたのはなぜだろう。
私は長年、軽症うつを患っている。だからここに書かれている「タフな精神の作り方」は
わからないでもないし、納得できることも多い。
ただ、今の若者が精根尽き果てて倒れるのではなく、割と早い段階で諦めてしまうのは、
もっと様々な社会的要因、教育環境なども影響していると私は思っている。
単純に、「こういう思考法をすればいいんだよ……」といろいろ言われても、
うつでヘロヘロしている私でさえ「うーん」と思ってしまうのだから、
本書で読者対象としている「折れやすい若者」は、もっと納得できないのではないか。
くどいようだが、いいことを書いているのだ。それなりにうなずけることも多い。
なのにこういうレビューを書くのは単なるへそ曲がりかもしれない。
しかし、多くのエピソードもいまひとつ齋藤氏自身がつかみ切れていない気もする。
だから「へえ〜」で終わってしまう。
文章力などの本を多く書いてきた斎藤さんにすれば「新境地」だったのかもしれないが、
斎藤さん自身、「折れてしまう心」を心底わかっているか、やや疑問だ。
救いは、押しつけがましい上から目線になってないことである。
読んでホッとするのも事実だから、たとえばストレスで悩んでいる人などは
読んでみてソンはないと思う。