おもろしく気軽に読める本だが、なかなか有益な知識も与えてくれる。少しまとまりが悪い感じがするが。筆者の次のような指摘は特に有益である。
1 ユナシンS(ampicillin)のようなペニシリン系は半減期が短いため4〜6時間おきに投与すべきである。
2 クラビット(levofloxacin)のようなキノロン系は濃度依存性で効果を示すために1日1回投与すべきである。ただしシプロキサン(ciprofloxacin)のような比較的古い薬は1日2回投与である。
3 セフェム系はよく世代で分類されるが、これは誤解のもとになる。モダシン(ceftazidime)とロセフィン(ceftriaxone)はともに第三世代である。モダシンはグラム陰性桿菌、緑膿菌に効果があるが、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌のようなグラム陽性球菌には効かない。ロセフィンはグラム陰性桿菌には効果があるが、緑膿菌には効かない。肺炎球菌にはよく効き、市中肺炎の第一選択になっている。モダシンをロセフィンと同じように思い、市中肺炎に使うことはできない。
4 偽膜性大腸炎の治療はフラジール(metronidazole)かバンコマイシン(vancomycin)の経口投与である。経口投与できない時、フラジールは腸管にも行きわたるから点滴投与できるが、バンコマイシンは点滴では腸管に入らないため点滴投与できない。ところが日本にはフラジールの点滴薬がない。
5 カルバペネム系(チエナムなど)は非常に広い細菌に効果があるが、決して強い抗菌薬でない。