木村剛氏が一般人向けに記した投資本の第3版。株式投資や不動産投資よりも広い視点や基本に忠実な視点から述べられてるという意味では稀有な本と言える。投資に関する知識がほとんどない人が真っ先に読むべき投資本として自信を持って推薦できる。僕は前の版を母に、本書を妻にプレゼントした。とくに素晴らしいのは、日本国における政府や裁判所やマスコミが資本主義を標榜している国家らしからぬ行動をとっていることとに触れられていること。節約という行為の強力な影響がきちんと強調されていること。このあたりは義務教育で扱ってもよい内容だと思う。もう一つの基礎中の基礎である複利の効果もきちんと抑えられている。極度の無知や妙な勘違いを矯正するには本書は極めて有用である。
一方で、ある程度の投資経験や知識があって、フィナンシャルプランナーやテレビに出ているエコノミストを軽く見ることのできる人にとっては得るものはあまり無い。投資以前のことは詳しく述べられていても投資そのものに関しては初歩的なことしにか触れていないし、文章や著者が推薦している本を見る限り、著者は投資やバリュエーションに関しては詳しくない。相場低迷を大歓迎して目をつけていた銘柄のオーナーになろうという人は本書の対象読者ではない。節約などの基礎ができた後での投資行動に関するアドバイスとしては「ドルコスト平均でETFを買え」以上の価値ものはない。
最後に本書の悪いところだが、一つは記述が無駄に冗長だということ。もう一つは「仕事(雇われの勤め)で一流になれ」と強調していること。前者は単なる執筆技術の問題だが、後者は読むときに注意する必要あり。「仕事(雇われの勤め)で一流になれ」という教えを実践してきた人と著者に老害とか保身とか職権の濫用とかいう言葉で批判されている人のかなりの部分は重なっているのである。雇われる側として一流であることが賞賛に値するのは、雇う側がマトモな場合である。