また、身近なところに悪習があると著者は指摘する。行き当たりばったりでいろいろな方法を試し、時々ランダムに勝つ。これがいかに悪い結果をもたらすか、このランダムな強化の弊害を知らずして投資の勝者にはなれない。損失を飲み食いで憂さ晴らししたり、人に話して慰めを受けることも多いはず。これが自分に間違った報酬を与えてしまっているという指摘も、言われて初めて気がつく。また、行動を起こさないことに対する言い訳と、その結末としての失敗が列挙され、自己の感情との闘いの重要性が理解できる。
第III部の投資家度チェックと、その後に示されるロスカット、スケジュールの作成、ポジティブな生活様式といった具体的な改善方法は極めて実践的な内容となっていて、ここだけ読んでもすぐに役立つ。
本書はトレード手法そのものの解説ではないが、どんな手法を使う際にも、この行動心理学を投資に生かすアプローチは学んでおきたい。また、マーケットの問題は別の問題の兆候という指摘をはじめとして、実生活に役立つ心理学の知識が身につくこともうれしい。(河野幸吾)
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具体的な投資法には一切触れていない為、投資に対してどのような実益があるのか、すぐにはわからないかもしれない。だが投資活動を長い目で見れば、この本の示唆している事はとても重要だと思う。自分では自覚しにくい兆候、それらを改善する具体的方策が述べられている。
個人的には、この「自覚しにくい部分」を自覚できた事が大きかった。
内容には冗長な部分もあるし、また必ずしも十分な内容だとも思わない。単なる知識としてではなく本当の意味で理解するには、時間も必要だろう。
だが、以上の重要な観点を与えられたので、★4つとした。
本書のなかでも詳しく解説されていますが、心理学は大きくわけてフロイト伝統心理学派とスキナー行動心理学派に別れます。フロイト伝統心理学はフロイト、ユングなどによって確立されたいわゆる精神分析学的心理学で、幼少期の体験を極めて重視します。米国の精神科開業医及び心理学開業カウンセラーの9割はこの手法をとります。理由は、クライアントを得やすいからです。想像するに著者もこの学派の手法で開業していたのではないかとおもわれます。一方、スキナー行動心理学とは日本ではロシアのパブロフ博士が有名ですので、パブロフ条件反射行動心理学といった方がわかりやすいかもしれません。もちろん、米国ではパブロフ行動心理学派という人はいませんが。内容は条件反射、強化などを主体とした心理学です。著者はさすが大学で心理学を専攻しただけあって、かなり詳しく書いてあります。また、フロイト学派、スキナー学派両方について書いてあります。行動心理学の部分は条件反射の動物実験について詳細に記載してあります。原題の「THE INVESTOR'S QUOTIENT」は本書内に記載されている、投資家向け心理テストのことで、よくあるYES/NOで返答し、YESが1点、NOが0点(もしくはその逆)の点数が与えられ、21点~28点は○○である、というタイプのアンケートテストです。題名は「心理学専攻投資家がかいた心理学の入門書」が良かったのではないでしょうか。心理学に興味のある人にはとても良い本です!
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