一気に読めた。本当に面白かった。胸を締め付けられる思いがする本だった。
本書は、VAIOの黎明期からソニーで働き始め、全盛期を経て昨年までVAIOの企画を担当していた人が書いた「VAIO戦記」とも言うべき壮絶な本です。前半はVAIOをいかに抜きんでたパソコンにするか、ソニーの技術者魂を注ぎ込んだ戦いの記録。後半は、技術軽視の経営からVAIOがおかしくなっていった時期の苦しみの記録。どちらも胸を打たれます。
本書の描写は徹頭徹尾、著者が働いていた現場の視点で貫かれています。物作りへの愛情と執念が感じられ、どんな職種の人にも共感できる情熱があります。
ソニー社内を見る目も面白い。カリスマと称えられた出井CEO(当時)と、プレステ生みの親・久多良木氏への現場からの視線など、非常に批評性が高く優れた記述です。
私はVAIOを使っていませんでしたが、著者たちがVAIOに注いだ情熱にはものすごく共感できた。「愉快ナル理想工場」というソニーの創業理念は具体的にはどんなだったのか、よくわかった。それだけに、後半のVAIO凋落のくだりには胸が痛む。
本書は、ソニー一社の話ではけっしてありません。どんな業種の仕事にも共通する悩みが誠実に書かれた、非常に普遍性の高い本です。門外漢でも泣けるし、読むと必ず自分の仕事の役に立つ部分がある。優れたビジネス書であり、歴史書だと思います。星5つじゃ足りない。
魅力あるソニーの復活を心から望む人は多いと思います。そういう人にぜひ読んでもらいたい、情熱と志のある本です。