東大名誉教授らが書く技術・産業論
内容は、まず、この本全体を通す内容として、これまでの失われた
時代を総括して、バレリーの予見不能性を引用し予見は不能なものの
変化の兆しは経営者としてつかむべきであることを述べています。
その後は、具体的な分析が並んでいます。まずは佐野による200年
あまりの長期統計により、パラダイムシフトの分析を行っています。
4章においては、加納による日本アミノ酸産業100年の分析が
そして前著でも扱った鉄鋼技術の分析など5章ぐらいまでは
かなり長期な分析が続きます。
6章、7章は学習システムの変化の潮流から起こっている変化ということで
かなり最近の内容まであつかっています。
8章はモジュールダイナミクスを書いた柴田による戦略転換マネジメント
という観点から述べています。
最後に社会システムに変化が受けいられるためにポーティング論などを
用いてどのように展開されるべきかを述べています。
前著、ハイテク技術のパラダイムは、現在のパラダイムが変わってしまって
いると思われる時代の処方箋であったのに対して、この本は
さらに踏み込んで変化を捉えようとしています。
いろいろな、論文と知見を下敷きに論を展開しているため、それらの
知見を理解していないと理解に苦しむ部分も少なからずあります。
しかし、いろいろな知見が1冊の本でまとまって読めるというのは
編者の意図しているところと合致しているように思えます。
前著が現在の処方箋ならば、この本は将来の処方箋で少し先を
行き過ぎているのかもしれません。
「予見不可能」なものに対して変化を読もうとしているので、歯切れは
悪いです。しかし、佐野の主張にもあるように変化への対処の準備は
怠りなくすべきであるというこの本全体の主張はとても力強く感じます。