単なる不良のための論壇案内というよりは「不良による不良のための論壇案内」といった具合。ここで不良が意味するのは単純にいくらか俗っぽいとかあんまり硬すぎないとか、その程度のイメージである。完全な話し言葉でもないが、かなり砕けた文体で全体的に軽い印象は受ける。あえて下らない印象論や論理性の欠片もない批判や顔の話など、評論家をネタにした雑談まがいのどうでもいい話が多々混ぜられている。各評論家についての著者の印象や個人的な関り、思い出などを書いてる感じで客観的に各評論家の主張理論などを硬く綺麗にまとめたようなものではない。だがこれは恐らくわざとであって、著者はあえて砕けた調子で軽く解説する方針で本書を書いているのだろうと思う。それをあまりよく感じない人にはイマイチなのかもしれないが読みやすい人には読みやすいし、私は必ずしも悪い事とは思わない。
扱われる批評家たちは目次の通りでなかなか多種多様、私は175頁までに扱われる人達は殆ど知っていたのだが、それ以降の芸術(映画だとか建築だとか)さらには化粧品評論やら恋愛評論の人物を扱う部分などについては全くの未知だったため、なかなか新鮮で面白く読ませてもらった。
あと特筆しておくべき事は、この著者はかなりあからさまに贔屓して解説している点。例えば森永の章では合間に「いいなぁ、森永卓郎」と相槌を入れ、最後は「いいぞ、森永卓郎!吼えろ、森永卓郎!」で閉めるという応援っぷり。小林よしのりの解説では「この章を書くのは本当にいやだった。小林よしのりが嫌いだからだ」「言っている内容も嫌いだけど、彼の物言うスタイルが嫌いだ」で始まる。堂々と批判したり賛同したりを少しも躊躇わないので客観的な紹介とはあまり呼べない。しかしそれも必ずしも短所ではないだろう。私が書いた特徴を踏まえた上で論壇、知識人といったものの入門的知識を得たいと思うなら本書は決して悪い本ではない。