四半世紀も私にくっ付いたまま離れない指が、今日もキーボードを叩いていた。
昔、ユーラシア大陸の右端に、小さな国があった。
私は昔、狩をしていたことがある。
「いたわり」という感覚が全ての人間に備わっているのは不思議だ。
山崎ナオコーラの新作「手」の中に収められている、4つの物語の出だし。
いつも思うのだが、彼女の小説は僕にとって読みやすい。かなり読みやすい。
年齢が近いからか?はたまた登場人物が僕にとって身近な存在だからか?やはり、年代が近い=感覚が近いような気がする。
今回の小説では特に、「手」の中の25歳の女性。似ているような気がする。
きっと僕だけ感じる感覚ではなくて、この年齢の人は強く感じていると思う。
どこか、現実逃避をしているのだ。
仕事にせよ、趣味にせよ、攻めているようで、逃げている。きっと寂しがり屋が多い。この25歳女性寅井さんは、寂しがり屋。けれども、気づいていないのだろう、本人は。
好きな一文を書いて、締めくくりたい。
京浜東北線の社内は、ほど良い混み具合で、皆でビル群を抜ける。そんな中、隣りで吊革をつかんでいる二十七歳の男が泣き出すのを眺める、というのは素敵な体験だ。
手