井上ひさし氏の直木賞受賞作。
江戸時代の町民文化が生き生きと活写されるにとどまらず、
主人公・語り手・脇役たち一人一人がなんと生き生きしていることよ。
それも、ただ活発なだけではない。
何かにとりつかれた、業のようなものを背負った面々なのである。
だから一人一人に影がある。陰影がくっきりしているからこそ、実在感が増す。
プロットそのものは破天荒きわまる、まさに井上ひさし的ドタバタコメディなのに。
ある一時代を詳細に描写するという意味で、今年度の直木賞受賞作とかろうじて共通点はあるものの、
物語の持つダイナミズムは天と地ほどの開きあり。
(おまけにあちらはかなりの長編で、こちらは短編に毛が生えたほどの中編。この密度の違いって…)
同列に並べちゃって、いいのかな?