将棋界をこよなく愛し、支えた方という面では、山口瞳氏と団鬼六氏の名前がまず浮かぶ。しかし二人の「愛し方」は随分と違ったようにも思える。山口さんは、どちらかといえば「花形棋士」との交流が中心だった。団さんは「将棋そのもの」が好きだったから、アマチュアの棋界雑誌を支援し、奨励会員や小池重明氏との交流を育まれた。そういうことは山口さんには出来なかった。どちらがいいとか悪いという話ではないのだけれど、眼差しは異なっていたように思う。
損得でいうなら、厭というほど損をされている。鬼のように遊び、愉しめばそれは「代償」だということを団鬼六氏はわかっていた。とことん真面目に遊び、戯れる人の姿というのは美しい。これだけ多くの人々から仏のように慕われた作家を私は知らない。
氏の志を継いで「小池重明氏」の一生を描いた映画化が実現することを心から願っています。