かねてからBlu-ray化して戴きたいと思っていた邦画作品の一つが早くも実現。
他には「ALWAYS 三丁目の夕日」「かもめ食堂」「嫌われ松子の一生」「DEATH NOTE」「地下鉄に乗って」などに期待している。
泣ける=良い作品とは一概には言えないが、この作品は拝見する度にやられる。
細部で気になる部分があるものの、ラストの兄・剛志の合掌のシーンで全て吹き飛んでしまう。
学費のため盗みに入り図らずも人を殺めてしまった兄と、犯罪者の家族として肩身の狭い生活を強いられる弟・直貴。幼い頃に両親を亡くし、兄・剛志は全てを犠牲にして弟の為に生きていた。
全ては自分の為であったと身に染みて理解しているが、殺人犯の弟に対する世間の風当たりは強く、アパートを追い出され、夢を諦め職を転々とする直貴。刑務所から届く兄にとっては「たったひとつの繋がり」である手紙が次第に疎ましく感じるようになる。何故、俺が・・・。全て兄貴のせいだ・・・。
時間の止まった壁の中。しかし娑婆では無情にも時間は流れてゆく。
この作品で一番興味深い所は「差別・人権」の描き方である。
歴史は常に人権の獲得と差別撤廃の為に戦ってきた。しかしこの作品では「差別は当然なんだよ」と言い切ってしまう。
劇中の家電量販店の会長の言葉である。「君はもうはじめているじゃないか。少なくともこの手紙の主とは繋がっている。あとはその糸を2本3本と増やしていけばいいのだ。」と。
そして、「差別のない場所を探すのではない、君はここで生きていくんだ」と。
去ってゆく会長は足を引きずっている。ハンデを負って生きてきた中で見付けたひとつの道だったのかも知れない。
自分の幸せの為だけに「俺、兄貴を捨てる」と伝えるシーン。直貴に正しい道を照らす由美子のひとすじの光の存在も強く印象に残る。
画質的には、正直厳しい。DVD版ほどではないが、やはり輪郭が甘くぼやけている。
傷やノイズは存在していない。転送レートは常に高く、使用している素材を忠実に再現している感は受けるものの、その素材自体に難あり。やはり邦画は作品が素晴らしくとも撮影方法・機材・環境など画質、音質的にはさほどこだわらない傾向の為、HD化は向いていないかも知れない。
ただ、この作品ついては柔らかく温かい印象に繋がっている様に受け取る事も出来る。
サウンドは2.0chと至ってシンプル。台詞を押し出し非常に聞き取り易い。きちんと日本語字幕も収録されている点も評価したい。
素材を含めての画質・音質面では強くはお奨め出来ないが、作品が訴えてくるものは素晴らしくBlu-rayではなくとも是非観ていただきたい。